磨いて磨いて磨いて
ということで、忘れる前にこの夏最大のイベント詳細をうp。
参加した講習会は、7月29日~8月1日までの4日間で連日10:00~16:00というスケジュール。講師はあの池谷・関彗星を発見された池谷先生。正直、先生にお会いできるというだけでも参加の価値あり、なミーハーなおいらなのでした。先生はもちろんとても魅力的な方でしたし、とても雰囲気のいい講習会でした。
研磨は、基本的に2枚のガラス板を擦り合わせて前後左右に動かす作業の繰り返し。この作業で上側のガラスが凹型になり、下側の盤ガラスが凸型になっていくのだから面白い。とはいえ、硬いガラスがそう簡単に削れるはずがありません。始めるときのガラスはこんな感じでした。
そして、最初の#80の砂ズリで、目標とする焦点距離まで中心部を削らないといけないのですが(おいらは焦点距離900ミリを目標にしていたので、削る深さは約1.3ミリ)、この1.3ミリが削れないったら削れない。最初の2時間で削れたのが0.3ミリだったのを見たときは、正直心が折れそうでした。結局、擦り合わせを大きくずらすことで中心部が削れることがわかり、なんとか目標まで辿り着きました。その後#150を経て、少しずつ目の細かい研磨剤を使って、基本的に「一つ前の研磨剤の砂目を消していく」作業。その都度、その番目の砂目で全体を整えていくのですが……。
#150。透き通っているように見えるのは、洗ったあとで水に濡れてるからです。
#320
#800
#2000
レンズ全体を均等な砂目にしないといけないわけで、わかってはいてもやっぱり大変でした。#2000なんて、粒もわからないくらいきめ細かいパウダー。でも、全然透明にはならないのでした。
そして2日目の夕方には、大イベント(?)のピッチ盤作り。ピッチ、というのは、アスファルトと松脂を鍋で溶かして混ぜて作ったもので、これをレンズの形に合わせて整形し、酸化セリウムで磨くときに土台にするもの。講習会なのでピッチ自体はベテランの方が作って下さっていたため、作業としては盤に流し込んで固めて型を取って、なのですが、まあ十分難しい。あとこれが結構な手間なので、自宅でやるのには一つのハードルかなぁ、などと思いました(やる気か?>おいら)。
3日目は、終日酸化セリウム磨き。まずはとにかく、磨りガラスを透明にしていく作業。延々と手を動かしていくと前日には磨りガラスだったものが透き通っていくのは、単純作業のようではありますが、実に面白い。しばらく磨いているとこんな感じに。
ただ、透明になればいいというものではなく、肉眼で透明になったように見えても#2000の砂目は案外消えていないので、透明になってからが重要。レンズに光を当てたとき、本当に透明になったなら「レンズの表面には光の像が出ず、裏面にだけ光の像が出る」のだそうです。これもハードな作業でした。途中検査してみると、たしかに上の面にもはっきりと………。
ちなみに、磨いたガラスを鏡にするにはメッキをすることになるのですが、砂目が残った状態でメッキをすると非常に残念な結果になるそうです。たしかに一目瞭然です。
そして、砂目が消えたら、いよいよ鏡面を削って反射鏡にしていく作業、なのですが、時間的制約もあり、また、セリウム磨きの途中でどこかの埃が入ったのか鏡面に小さい傷を作ってしまい、目標を「綺麗なガラス板を作る」に設定したので、結果的に反射鏡にはなりませんでした。えーと、偏球面、ていうんですか、レンズの中心部分が盛り上がってしまっている状態で終わりました。盤面がどういう状態かは、フーコーテストというテストでわかるのですが、これが見方も含めて難しい。でも、ずーーっと昔からこんな方法が使われていたんだから、頭のいい人ってのはいるもんですな。
フーコーテスターはこんな感じでした。
[1]はガラスの表面に当たった部分、[2]がガラスの裏面に当たった部分、です。[2]だけが見える鏡がいい鏡、ということです。
完成はできませんでしたが、とりあえず一連の流れがわかっただけでも十分に価値のある講座でした。作らないといけないのは放物面なのですが、磨く過程で球面に近くなるのはなんとなくわかるんだけど、これがどうしたら放物面になるのか(やはり偶然もあり?)、あと、フーコーテストも理屈は説明でわかるんだけどまだしっくりこないので、とりあえず勉強してみます。大変な肉体労働で、汗だくになった4日間ではありましたが、来年も、行けたらたぶん行くなぁ(笑)。
参加した講習会は、7月29日~8月1日までの4日間で連日10:00~16:00というスケジュール。講師はあの池谷・関彗星を発見された池谷先生。正直、先生にお会いできるというだけでも参加の価値あり、なミーハーなおいらなのでした。先生はもちろんとても魅力的な方でしたし、とても雰囲気のいい講習会でした。
研磨は、基本的に2枚のガラス板を擦り合わせて前後左右に動かす作業の繰り返し。この作業で上側のガラスが凹型になり、下側の盤ガラスが凸型になっていくのだから面白い。とはいえ、硬いガラスがそう簡単に削れるはずがありません。始めるときのガラスはこんな感じでした。
そして、最初の#80の砂ズリで、目標とする焦点距離まで中心部を削らないといけないのですが(おいらは焦点距離900ミリを目標にしていたので、削る深さは約1.3ミリ)、この1.3ミリが削れないったら削れない。最初の2時間で削れたのが0.3ミリだったのを見たときは、正直心が折れそうでした。結局、擦り合わせを大きくずらすことで中心部が削れることがわかり、なんとか目標まで辿り着きました。その後#150を経て、少しずつ目の細かい研磨剤を使って、基本的に「一つ前の研磨剤の砂目を消していく」作業。その都度、その番目の砂目で全体を整えていくのですが……。
#150。透き通っているように見えるのは、洗ったあとで水に濡れてるからです。
#320
#800
#2000
レンズ全体を均等な砂目にしないといけないわけで、わかってはいてもやっぱり大変でした。#2000なんて、粒もわからないくらいきめ細かいパウダー。でも、全然透明にはならないのでした。
そして2日目の夕方には、大イベント(?)のピッチ盤作り。ピッチ、というのは、アスファルトと松脂を鍋で溶かして混ぜて作ったもので、これをレンズの形に合わせて整形し、酸化セリウムで磨くときに土台にするもの。講習会なのでピッチ自体はベテランの方が作って下さっていたため、作業としては盤に流し込んで固めて型を取って、なのですが、まあ十分難しい。あとこれが結構な手間なので、自宅でやるのには一つのハードルかなぁ、などと思いました(やる気か?>おいら)。
3日目は、終日酸化セリウム磨き。まずはとにかく、磨りガラスを透明にしていく作業。延々と手を動かしていくと前日には磨りガラスだったものが透き通っていくのは、単純作業のようではありますが、実に面白い。しばらく磨いているとこんな感じに。
ただ、透明になればいいというものではなく、肉眼で透明になったように見えても#2000の砂目は案外消えていないので、透明になってからが重要。レンズに光を当てたとき、本当に透明になったなら「レンズの表面には光の像が出ず、裏面にだけ光の像が出る」のだそうです。これもハードな作業でした。途中検査してみると、たしかに上の面にもはっきりと………。
ちなみに、磨いたガラスを鏡にするにはメッキをすることになるのですが、砂目が残った状態でメッキをすると非常に残念な結果になるそうです。たしかに一目瞭然です。
そして、砂目が消えたら、いよいよ鏡面を削って反射鏡にしていく作業、なのですが、時間的制約もあり、また、セリウム磨きの途中でどこかの埃が入ったのか鏡面に小さい傷を作ってしまい、目標を「綺麗なガラス板を作る」に設定したので、結果的に反射鏡にはなりませんでした。えーと、偏球面、ていうんですか、レンズの中心部分が盛り上がってしまっている状態で終わりました。盤面がどういう状態かは、フーコーテストというテストでわかるのですが、これが見方も含めて難しい。でも、ずーーっと昔からこんな方法が使われていたんだから、頭のいい人ってのはいるもんですな。
フーコーテスターはこんな感じでした。
[1]はガラスの表面に当たった部分、[2]がガラスの裏面に当たった部分、です。[2]だけが見える鏡がいい鏡、ということです。
完成はできませんでしたが、とりあえず一連の流れがわかっただけでも十分に価値のある講座でした。作らないといけないのは放物面なのですが、磨く過程で球面に近くなるのはなんとなくわかるんだけど、これがどうしたら放物面になるのか(やはり偶然もあり?)、あと、フーコーテストも理屈は説明でわかるんだけどまだしっくりこないので、とりあえず勉強してみます。大変な肉体労働で、汗だくになった4日間ではありましたが、来年も、行けたらたぶん行くなぁ(笑)。
by o_sanpo
| 2010-08-02 23:46